モーニングセミナー                         
                                                          1996
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             「三次産業の経営」     元ヤマト運輸会長  小倉昌男     

1.はじめに

   ・三次産業は二次産業とは経営の論理が異なる。−−−貯えができない

   ・宅急便の開発−−−20年前  もうからないという社内の声

   ・商業貨物は後回しし、家庭の荷物に特化

 

2.すべてのものにメリットとデメリットがある−−−物事の二面性

    ・しかも条件によって変わる

    ・人を増やせばサービスが上がるが、コストが高くなる−−−生産性と人件費

    ・我社は社員が6万人、毎年増やしてきている

   ・間接部門は減らしても直接サービス部門の人を減らしては駄目。

 

. お客様と接するサービス部門は決して委託化しない−−−最も大事なサービスの委託は考 

    えられない。間接部門の委託はあってもサービス部門は必ず自社の社員でやる。

 

4.サービスの差別化    

    「サービスが先、利益(収支)は後」をスローガンにやってきた。

    ・サービスがよければ自然に利益はついてくる。

    ・サービスとコストのトレードオフこれをきめるのが経営

    ・安全第一・営業第一なんていうのは嘘、なんでも第一というのは第一ではない。

      ヤマトでは「安全第一・営業第二」でやってきた。ほどほど主義は駄目。

    ・ドライバーにも必要なら長距離電話もかけさせる−−−サービスのためならけちらない。

  ・届け先が転居の場合、送り先に戻すことは簡単だが、我々は転居先を探してまで届ける。

 

5.ハブ&スポークによる輸送ネットワークの構築

    ・営業所はどんどん増やした。

    ・ダントツサービス3ヶ年計画−−−1981-1990 9年かけた

      いいサービス→あたり前になってしまう。

      お客様の立場に立ってサービスを考える。−−−不在の時に届けても渡せなければ

   意味がない。

      いいサービスの定義はお客様にとって変わる。

 

6.「全員経営」

   @仲間意識を持たせる、皆に同じ気持ちを持たせる。−−−自発的にやってもらうようにす

   る。

   コミュニケーション大事−−−社長と同じ情報を社員に流せばよい。

      情報を同時に同量流す−−−むずかしいが大事

   A三次産業は「寿司屋の経営」でやるべき。

     一人で何でもやる(多機能化)−−−接客、ドライバー、コンピューター操作、キャッシ

   ャー等

     全部一人でやることにより働き甲斐、経営意識

     分業型の日本食堂スタイルでは駄目

   B労働組合重視

     悪い情報がトップに来なくなるため、組合は絶対必要−−−悪いところはどんどん言わせ

   る。その代わり、悪くないところにケチはつけさせない。

 

7.攻めの経営と守りの経営

  時代の変化に対応しないのは守りの経営

  守りは駄目、縮小均衡はない、営業所の閉鎖−−−緊急避難はありえても需要が減るだけ

  過疎地の営業もどんどんやる−−−儲からないというのは間違い

  攻めの経営の狙いは競争に勝つこと   サービスと価格の競争−−−サービスの競争が 

  大事。  競争相手は同業者ではない、離れたところにいる

    −−−国内線なら競争相手はANAではなく、安い国際線のKALである。  

 

8.一番重要なのはサービスの競争

   ・ダイヤ、ネットワークの整備は基本的サービス

   ・ハブ&スポークをなぜやらない

     路線開設ができないなら、自動車・バスと組んでもやるべき

     ローカル空港なんて不要、高速道路を整備しAIR &TRUCKで十分

     お客様は自宅から出て自宅に帰るのであって、例えばHND-SPKの間は目的でも

     なんでもない。コスト中心の大型機なんてお客様のためにならない。小さくても  

     FREQUENCYのある方がお客様のためになる。

 

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