モーニングセミナー
1996年4月4日
「三次産業の経営」 元ヤマト運輸会長 小倉昌男
1.はじめに
・三次産業は二次産業とは経営の論理が異なる。−−−貯えができない
・宅急便の開発−−−20年前 もうからないという社内の声
・商業貨物は後回しし、家庭の荷物に特化
2.すべてのものにメリットとデメリットがある−−−物事の二面性
・しかも条件によって変わる
・人を増やせばサービスが上がるが、コストが高くなる−−−生産性と人件費
・我社は社員が6万人、毎年増やしてきている
・間接部門は減らしても直接サービス部門の人を減らしては駄目。
3. お客様と接するサービス部門は決して委託化しない−−−最も大事なサービスの委託は考
えられない。間接部門の委託はあってもサービス部門は必ず自社の社員でやる。
4.サービスの差別化
・「サービスが先、利益(収支)は後」をスローガンにやってきた。
・サービスがよければ自然に利益はついてくる。
・サービスとコストのトレードオフこれをきめるのが経営
・安全第一・営業第一なんていうのは嘘、なんでも第一というのは第一ではない。
ヤマトでは「安全第一・営業第二」でやってきた。ほどほど主義は駄目。
・ドライバーにも必要なら長距離電話もかけさせる−−−サービスのためならけちらない。
・届け先が転居の場合、送り先に戻すことは簡単だが、我々は転居先を探してまで届ける。
5.ハブ&スポークによる輸送ネットワークの構築
・営業所はどんどん増やした。
・ダントツサービス3ヶ年計画−−−1981-1990 9年かけた
いいサービス→あたり前になってしまう。
お客様の立場に立ってサービスを考える。−−−不在の時に届けても渡せなければ
意味がない。
いいサービスの定義はお客様にとって変わる。
6.「全員経営」
@仲間意識を持たせる、皆に同じ気持ちを持たせる。−−−自発的にやってもらうようにす
る。
コミュニケーション大事−−−社長と同じ情報を社員に流せばよい。
情報を同時に同量流す−−−むずかしいが大事
A三次産業は「寿司屋の経営」でやるべき。
一人で何でもやる(多機能化)−−−接客、ドライバー、コンピューター操作、キャッシ
ャー等
全部一人でやることにより働き甲斐、経営意識
分業型の日本食堂スタイルでは駄目
B労働組合重視
悪い情報がトップに来なくなるため、組合は絶対必要−−−悪いところはどんどん言わせ
る。その代わり、悪くないところにケチはつけさせない。
7.攻めの経営と守りの経営
時代の変化に対応しないのは守りの経営
守りは駄目、縮小均衡はない、営業所の閉鎖−−−緊急避難はありえても需要が減るだけ
過疎地の営業もどんどんやる−−−儲からないというのは間違い
攻めの経営の狙いは競争に勝つこと サービスと価格の競争−−−サービスの競争が
大事。 競争相手は同業者ではない、離れたところにいる
−−−国内線なら競争相手はANAではなく、安い国際線のKALである。
8.一番重要なのはサービスの競争
・ダイヤ、ネットワークの整備は基本的サービス
・ハブ&スポークをなぜやらない
路線開設ができないなら、自動車・バスと組んでもやるべき
ローカル空港なんて不要、高速道路を整備しAIR
&TRUCKで十分
お客様は自宅から出て自宅に帰るのであって、例えばHND-SPKの間は目的でも
なんでもない。コスト中心の大型機なんてお客様のためにならない。小さくても
FREQUENCYのある方がお客様のためになる。